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Synchron社、脳へ埋め込むコンピューターインターフェースの試験の許可をFDAから取得

ベンチャー企業の脳データ転送企業であるSynchron社は、2021年7月28日、米国食品医薬品局(FDA)が、同社の主力製品であるStentrodeのInvestigational Device Exemption(IDE)申請を承認したことを発表しました。
この試験は、今年後半にニューヨークの病院で開始され、重度の麻痺を持つ患者を対象に、安全性と有効性を評価し、脳のデータを使ってデバイスを操作し、機能的自立性の向上を達成することを目指しています。

・Synchron社のCEOであるトーマス・オクスレー医学博士のコメント

Synchron社のCEOであるトーマス・オクスレー医学博士によると、
「今回のIDEの承認は、FDAと協力して行った長年の安全性試験の結果を反映したものです。私たちは、麻痺の治療のための埋込型脳コンピューターインターフェース(BCI)の最初の商業的承認に向けて、協力して道を切り開いてきました。今年、ついに米国で臨床試験を開始できることを嬉しく思います」とのことです

・治療法

他の埋め込み型BCIのアプローチでは、頭蓋骨に穴を開け、針状の電極を脳組織に直接埋め込みますが、それでは長期的な脳の炎症を引き起こす可能性があります。
Synchron社Stentrodeデバイスは、2時間くらいの低侵襲手術で、デバイスを首にある血管に入れ、そこから脳内にまで移動させ送り込みます。血管を利用することで、脳のすべての領域に手術なしでアクセスでき、しかも大規模に行うことができます。

患者さんは、埋め込み後すぐに自宅でデバイスを使い始め、手足を動かすことを意識して外部機器をワイヤレスで操作することができます。このシステムは、テキスト、電子メール、オンラインショッピング、遠隔医療へのアクセスなどの日常業務を可能にすることで、患者さんのコミュニケーションの向上と機能的自立を促進するように設計されています。

・今後の予定

同社は、現在オーストラリアで進行中の臨床試験で、このデバイスの評価を続けています。4人の患者さんが手術を受け、脳の運動野からデータ転送にこのデバイスを活用してデジタル機器を制御しています。2020年10月にJNISに掲載された最初の2人の患者のデータでは、デバイスを制御してテキストやタイプを入力できることが示されました。埋め込み後、機械学習を利用した短期間のトレーニングを経て、患者は1人でご自宅からシステムを使用し、テキストメッセージの送信、オンラインショッピング、財務管理ができるようになったと報告されています。

また、カーネギーメロン大学、ピッツバーグ大学メディカルセンター、ニューヨーク市のマウントサイナイ・ヘルスシステムと共同で、新しい試験を実施します。この試験では、合計6名の患者が計画されており、今年後半に登録が開始される予定です。

・Synchron社について

ニューヨークに本社を置く、ベンチャー企業の脳データ転送会社です。埋め込み型ニューラル・インターフェース技術の分野でリーダー的存在です。同社は、麻痺の治療のための商業的な神経プロテーゼの臨床段階にあり、初の血管内埋め込み型神経調節療法を開発しています。脳データ転送技術の今後の応用としては、てんかん、うつ病、睡眠などが挙げられます。

同社は、カリフォルニア州のシリコンバレーにもオフィスを構え、オーストラリアのメルボルンには研究開発施設を持っています。

参考資料:https://synchron.com/press-release-july-28-2021

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